現在、世界で栽培されている多くの小麦の品種は、人間の都合(収穫効率、グルテン増強など)により人工的に交配されてきたものです。過去50年もの間、世界中で続けられている「緑の革命」は、農作物を工業製品のように効率的に生産するためのものです。つまり、現在の多くの小麦は、化学肥料と農薬と機械を駆使し世界中で工業的に作られています。これはもちろん日本でも同じことです。よく国産小麦という言葉を耳にしますが、国産という言葉は本当にあなたの安全と健康を保証しているでしょうか?(こちらの記事も参照

ラコーヌの在来麦 (ひげ小麦)

私たちのパンは自然が長い時間をかけて生み出した天然の品種である「古代麦」や「在来種小麦」を使用します。約12000年前から始まったとされる人類の農耕の歴史の中で、農家による種子保存、播種、育成、収穫のサイクルの中で生き続けてきた品種です。古代麦や在来種小麦は現代の小麦品種のような工業的生産には適していません。しかし現代においても古代麦や在来種小麦の有機栽培に取り組む農家の方達がいます。彼らは現代品種や工業的生産、化学肥料や農薬を使用することが農地、環境、社会、人々の健康にとってどのような影響を与えるのかを知っています。持続的で健全な農と環境や人との関係を理解しているのです。私たちそのような農家の方々によって有機栽培で育てられた古代麦や在来種小麦を、水とわずかな塩だけでシンプルなパンに焼き上げるのです。

名称(仏語名、学名、栽培年)

  • アインコーン(engrain,Triticum monococcum,紀元前12000〜10000年)
    人間によって栽培された最初の農作物といわれ、いわば小麦の始祖。低グルテン、低GI。豊富なルチン・カルテノイド(抗酸化作用)やミネラルを含む。口当たりの優しさと力強くワイルドな香ばしさを併せ持つ。

  • エンマー(amidonnier,Triticum dicoccum,紀元前10000年)
    古代エジプトで最も一般的に食されていた麦で、ローマ帝国のシーザーも大好物だったといわれる。ドイツやスイスでは黒ビールの原料にも使われている。低グルテン。カロテン、ビタミンB、亜鉛、マグネシウムを多く含む。木の実や蕎麦のような奥深い風味。

  • コラザン(khorasan,Triticum turanicum,紀元前4000年)
    デュラム小麦の祖先にあたる品種。古代ペルシアのコラザン州で栽培が始まり、その後エジプト方面に伝播した。ミネラル、ビタミンE、タンパク質が豊富。ヘーゼルナッツのようなクリーミーな香ばしさと栗のような甘味が特徴。

  • スペルト(grand épeautre,Triticum spelta,紀元前5000年)
    エンマーとタルホコムギ(野生エギロプス属)が自然交配してできた品種。ガリア人は古代ローマにスペルトを供給していたので「ガリアの小麦」(blé des Gaulois)とも言われる。ミネラル、必須アミノ酸、フェノール化合物が豊富。グリアジンが少ないため消化もよく血糖値の上昇も緩やか。フェノール由来の軽やかな香ばしさと優しい甘味を持つ。