エンバク(Avena sativa, avoine)

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エンバク(Avena sativa)“ 原産地は地中海沿岸から肥沃な三日月地帯、中央アジアにかけてであり、この地方には現代でも野草型のエンバクが広く分布している。やがてこの雑草型エンバクが休眠性や非脱落性といった穀物の重要な特性を獲得していき、約 5,000 年前に中央ヨーロッパで作物となったと考えられている。

エンバクとスペルトのパン・ベック

エンバクは栽培化された中央ヨーロッパを中心に栽培され、ローマ帝国がこの地方に進攻するとともにローマにも伝えられた。ローマにおいては飼料用にしか使用されず、人間の食用となることはなかったが、一方ローマの北方に居住していたゲルマン人はエンバクを栽培し、人間の食用としていた。中世のフランスにおいても、湿潤な高地においてはエンバクが主に栽培される穀物であった。また、中世のエールにはオオムギ麦芽のほかにしばしばエンバクの麦芽が使用された。オートミールを食用とするのは貧しい農民が主だったが、これは穀物を粉に挽かなければならないパンとくらべ目減りが少ないうえ、石臼を持つ粉屋やパン屋から手数料を差し引かれる必要もなく、価格も安いためであった。

エンバクの水溶性食物繊維の大部分はβグルカンである。エンバク由来のβグルカンについて血中コレステロール値上昇抑制作用、血糖値上昇抑制作用、血圧低下作用、排便促進作用、免疫機能調節作用などが欧米を中心に多数報告されている。このコレステロール低減という特質が確定されたことも、健康食品としてエンバクが受け入れられる理由となった。また、エンバクはコムギと比べたんぱく質や脂質が多く含まれているうえ、もっとも利用されるオートミールが全粒穀物であるため、精白された他の穀物と比べてさらに多くの食物繊維やミネラルを取ることができる。逆にこれらの含有量が高いため、デンプンの割合はほかの穀物に比べて低く、エネルギー量はやや低いが、これもまたエンバクが健康的であるとされる理由のひとつとなった。”